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短編.
恋心を消す薬を飲むつもりが、間違えて婚約者と聖女が飲んでしまった件
星キノ
全1話[11,753文字] 異世界〔恋愛〕
幼い頃から殿下の婚約者だった私は、物心つく前から妃教育と公務に悩まされ続けてきた。
そんな私にとっての唯一の癒しは、婚約者との親睦を深める束の間のお茶会だった。政略であれども彼を好きになっていた。
けれど三年前、突然聖女が現れ、殿下は瞬く間に夢中になった。
悲しかった。いつしか、誰も私の言葉を聞かなくなった。でもいちばん悲しかったのは、そんな私を省みる者が居なくなっていたことだろう。
夜会を早退したその日の夜、私は屋敷の書庫で古い本を読んでいた。そこに記されていたのは魔の森の魔女についての書物であった。
彼女は、あらゆる薬を作る女とされていた。
「恋心を消す薬です」
気がつけば、私はそっとポーチの中にある小瓶を握りしめ、深呼吸をしていた。
これを飲めば楽になる。それは頭ではわかっている。だからあとは、このカップの紅茶を飲み干すだけ。これを飲むだけで、私の中にある身を焼く炎は、一瞬で焼失する。
……そう、思っていた時だった。
「ひと口ちょうだい!」
「はい? えっ、ちょっ、まっ──」
聖女が身をズイっと乗り出し、私が今まさに手にしようとしていたカップを風の如く掻っ攫っていく。
「わぁっ、美味しい! 殿下もひと口飲んで」
満面の笑みでそう言って、私のカップを彼女は殿下に差し出す。
「ああ、頂こう」
「いや、まっ──」
咄嗟のことだったので反応できなかったとは言え、曲がりなりにも、私はこうして殿下に、得体の知れない薬を盛ってしまったのだ。
そんな私にとっての唯一の癒しは、婚約者との親睦を深める束の間のお茶会だった。政略であれども彼を好きになっていた。
けれど三年前、突然聖女が現れ、殿下は瞬く間に夢中になった。
悲しかった。いつしか、誰も私の言葉を聞かなくなった。でもいちばん悲しかったのは、そんな私を省みる者が居なくなっていたことだろう。
夜会を早退したその日の夜、私は屋敷の書庫で古い本を読んでいた。そこに記されていたのは魔の森の魔女についての書物であった。
彼女は、あらゆる薬を作る女とされていた。
「恋心を消す薬です」
気がつけば、私はそっとポーチの中にある小瓶を握りしめ、深呼吸をしていた。
これを飲めば楽になる。それは頭ではわかっている。だからあとは、このカップの紅茶を飲み干すだけ。これを飲むだけで、私の中にある身を焼く炎は、一瞬で焼失する。
……そう、思っていた時だった。
「ひと口ちょうだい!」
「はい? えっ、ちょっ、まっ──」
聖女が身をズイっと乗り出し、私が今まさに手にしようとしていたカップを風の如く掻っ攫っていく。
「わぁっ、美味しい! 殿下もひと口飲んで」
満面の笑みでそう言って、私のカップを彼女は殿下に差し出す。
「ああ、頂こう」
「いや、まっ──」
咄嗟のことだったので反応できなかったとは言え、曲がりなりにも、私はこうして殿下に、得体の知れない薬を盛ってしまったのだ。
恋心を消す薬
恋心を無くす薬
恋心をなくす薬
聖女
自己嫌悪マシマシ系
誠意
謝罪
毒味は大事
全1話[11,753文字]
(各話平均11,753文字)
[推定読了0時間24分]
お気に入り登録:39件
投稿開始:2026年07月07日(20:04:17)
(各話平均11,753文字)
[推定読了0時間24分]
お気に入り登録:39件
評価人数:232人(平均3.7pt)
最新作投稿:2026年07月07日(20:04:17)投稿開始:2026年07月07日(20:04:17)
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